2015年8月5日水曜日

緑の森よ 我は歌わん汝れはこよなき我が憩いと
小暗き森の樹々は繁り強き
真夏の陽はおごれど
梢を延べて 木陰なしぬ

緒園 涼子 メンデルスゾーン『緑の森よ』より


メンデルスゾーンの合唱曲『緑の森よ』の歌詞の一部より抜粋。緒園涼子(おそのりょうし)は、童謡や歌曲の訳詩をした明治生まれの作詞家。

2015年8月4日火曜日



私の想像の翼は、閉じ込められても閉じ込められても、はばたき続けるの。

アンネ・フランク 『アンネの日記』


1944年の8月4日、アンネ・フランクは逮捕され、アムステルダムの隠れ家から収容所へと連行された。彼女と同じ14歳の時、私は「アンネの日記」を読んだ。父への尊敬や母への反抗、隠れ家での小さな恋。思春期の少女の気持ちには、国や時代は関係ないことを知った。

2015年8月3日月曜日

好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。

坂口安吾 『夜長姫と耳男』より


夜長姫が耳男にささやいた言葉。時には薬漬けとなり、精神を病んだりしながら、作品を生み出した坂口安吾。命を削るほどに創作へ情熱を傾けた文豪によるメッセージ。

2015年8月2日日曜日



草の上

鵞鳥は小径を走る。
彼女の影も小径を走る。

鵞鳥は芝生を走る。
彼女の影も芝生を走る。

白い鵞鳥と彼女の影と
走る走る――走る

ああ、鵞鳥は水に身を投げる!

三好達治


七月三十日七月三十一日そして昨日からの続き。三好達治の『測量船』より「草の上」

草の上


野原に出て坐つてゐると、
私はあなたを待つてゐる。
それはさうではないのだが、


たしかな約束でもしたやうに、
私はあなたを待つてゐる。
それはさうではないのだが、

野原に出て坐つてゐると、
私はあなたを待つてゐる。
さうして日影は移るのだが――


かなかなはどこで啼いてゐる?
林の中で、霧の中で

ダリアは私の腰に
向日葵ひまはりは肩の上に

お寺で鐘が鳴る。
乞食が通る。

かなかなはどこで啼いてゐる?
あちらの方で、こちらの方で。


池のほとりの黄昏たそがれは
手ぶくろ白きひと時なり

草を藉しき
静かにもまた坐るべし

古き言葉をさぐれども
遠き心は知りがたし

我が身を惜しと思ふべく
人をかなしと言ふ勿れ


鵞鳥は小径を走る。
彼女の影も小径を走る。

鵞鳥は芝生を走る。
彼女の影も芝生を走る。

白い鵞鳥と彼女の影と
走る走る――走る

ああ、鵞鳥は水に身を投げる!

2015年8月1日土曜日



草の上

池のほとりの黄昏は
手ぶくろ白きひと時なり

草を藉しき
静かにもまた坐るべし

古き言葉をさぐれども
遠き心は知りがたし

我が身を惜しと思ふべく
人をかなしと言ふ勿れ

三好達治


一昨日昨日からの続き。三好達治の『測量船』より「草の上」

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